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2018.11.02井戸ママ会議①

井戸ママ会議①

玉袋 わたくし、全日本スナック連盟の会長の玉袋筋太郎でございます。なかなか横のつながりがないスナック業界、今回は全国のママたちのナマの声を聞くために意見交流会「しゃべり場」を企画しました。

紀代子ママ 玉ちゃん、いや~もう有名でございますよ。

奈美子ママ アハハハハハハ。

玉袋 いやいや、スナックオーナーとしては未熟者ですから。お店開いてまだ1年半。今日はこれだけの先輩たちがいらっしゃるんで、いろいろ話を聞きたいんですよ。ざっくばらんに。ざっくばらんにやってください。

紀代子ママ 1年半なんて、あなたまだまだ若いんだからこれからずっとやってくださいよ。

玉袋 赤ちゃんだったら1歳半ってことだからね。ヨチヨチ歩き。

紀代子ママ まだ毛が生えたぐらいよ。

玉袋 毛なんか生えてないよ。ん?いや生えてる。下の毛の話じゃねえ(笑)。

奈美子ママ 上の(笑)。

れい子ママ アハハハハハハ。

玉袋 こういう返し。さすがだね。じゃあ、自己紹介を。若い順に(笑)。しなの紀代子ママから。

紀代子ママ 若い順ね(笑)。わたくし、新橋でスナック「しなの」という店をやってます。信州出身なので。東京に出てきてウン十年。新橋で38年スナックやってます。よろしくお願いします。

紀代子ママ

玉袋 38年だよ。

紀代子ママ まあ、あなたがご幼少の頃から。ごめんなさいね(笑)。

玉袋 俺、今52だから、14。中学生の時からやってるんだから。まあ、年齢はいいです(笑)。

紀代子ママ いいの?

玉袋 ママの年齢は永遠に39歳でいい。決まってますから。ウチのおふくろもスナックのママだったから。

紀代子ママ そうなの?

玉袋 絶対に歳は39から変わらないのよ。

奈美子ママ むしろカウントダウンしていくという(笑)。

玉袋 じゃ続いて自己紹介お願いします。

れい子ママ 都立大駅前の住宅街で小さいスナック「Le・cLub」をやってるれい子です。

れい子ママ

玉袋 れい子ちゃんのママ歴は?

れい子ママ まだ4年です。

玉袋 4年。

紀代子ママ きれいなんだからこれからよ、あなた。

玉袋 これが面白いのが新橋のママと都立大の住宅街のママが顔を合わせるわけだよ。住宅街にもあるんだね。

紀代子ママ そりゃなきゃ困りますよ。今ね、スナックに行きたい60代が定年になってたおじさんたちが昼カラに行くでしょ?だから頑張らなきゃ。

玉袋 確かに昼、閉めとくより開けといた方がいいんだから。昼は料金下げて営業してるとこっていっぱいあるんだよ。

紀代子ママ 一時期、カラオケボックスが流行ったでしょ?でもね、今はそうでもない。こうやって若いきれいなママがスナックにいたり、こうやって忙しい会長さんがスナックに顔出してくれるわけでしょ?だからスナックが盛り返してきてるわけだから。

玉袋 完全にママのペースに入ってきたよ(笑)。でもそういうことでしょ?今、スポットライトがスナックに当たってるような気がするんだよね。でもね、スポットが当たらなかった間、地道に新橋という場所でやってたんだからさ。立派だよね。

紀代子ママ それはね、バブルの時は凄かったのよ(笑)。120人ぐらい入る店をね、同じ階に3軒営業していて、それが2時間おきにお客さんが入れ替わるのよ。

玉袋 それ、はとバスだよ(笑)。

紀代子ママ 霞が関から団体で来るのよ。

玉袋 それをさばいたってのは凄いね。それはおいおい。そしてもう1人のママ。

奈美子ママ 赤坂Roseの奈美子です。10月で丸8年になります。

奈美子ママ

玉袋 しなの38年、Rose8年、Le・cLub4年、スナック玉ちゃん1年半。俺が一番の若輩者。一応、オーナーだけどさ、働いてるママはいる。あれ、今日、ママはどっか行っちゃった。糸の切れた凧みたいな子だから(笑)。

紀代子ママ 素晴らしいじゃない。糸の切れた凧みたいに自由にさせてるんだから。オーナーは心が大きい人なんじゃないの。

玉袋 そうですか。よかった。カネだけ持って逃げなきゃいいけど(笑)。生かさず殺さずおカネを渡してるってことですけどね。じゃ、店を始めたきっかけを聞いてみようかね。

紀代子ママ あたし、正直に白状しちゃうけど、お見合いで結婚して、築地の嫁になったんですけど、8人兄弟の長男ところに。お姑ばあさんがいてね。まるで「おしん」の世界でしたよ。だけど、そこで17年頑張ったんです。頑張ったけれども、築地のやっちゃば、青果の方。最初は経理をやっていたんだけど、ダンナがウン百万円も使い込んだりして、3日で経理を追い出された。それからおウチのことをやるようになったんですよ。女中さんもいたけど。

玉袋 デッカイところだったんだね。

紀代子ママ 東京の築地だから狭いところよ。三階建てで。

玉袋 立派だよ(笑)。でも、そんなところに嫁ぐってのは大変だよ。そこで人のあしらい方とか、そういったことを学んだのかな。

紀代子ママ すっごい厳しいお義母さんで一日に三回、テーブルのホコリを指でチェックするような人だったの。ダンナはダンナで、仕事もしないで麻雀に行ったりね。3日ぐらい平気でいなくなるから。でも警察から連絡が来ないからどこかで生きてるだなって(笑)。

玉袋 あの時代の女性はみんな一緒。俺のおふくろもそうだった。姑、小姑に散々やられてね。

紀代子ママ そうざんしょ。

ママ一同 アハハハハハハ。

紀代子ママ もう耐えられないと思ってね。ダンナと別れるにも子供が3人いたから。子供3人抱えて、慰謝料も養育費もいらないから別れよう思ったの。

玉袋 凄いね。

紀代子ママ 子供3人を食べさすには事務員の給料では難しいし、スナックでもやろうかと思って。新聞広告を見たら売りに出てたのよ、安い新橋のスナックが。36~7年前かな。見に行ったらネズミがチョロチョロ出てくるような店だった(笑)。でも、300万円で出来るって。おカネは無かったけど、弟2人が何とかしてくれた。離婚する前に店を出したいと思ってたから、誰にも言わずにコソッと開店したの。

玉袋 それまで水商売の経験は?

紀代子ママ 全くないですよ。何にも知らないから店の隣の小料理屋のママに「すみません、水割りって水を先に入れるんですか?氷が先ですか?」って聞きに行ったの(笑)。そしたらそのママ、九州の人なんだけど、「そんなものもわからないで新橋で店を出すなんてどうかしてるわよ!」と、その氷を私に投げつけるんですよ (笑)。怖いなと思って。それから何年か過ぎて、そしたらダンナがね、近所のスナックのマスターを連れてきて、コソッとやってた私の店に来たのよ。0時過ぎてたから「もう閉店ですから」と帰らせたんですよ。そしたら、隣の氷投げつけてきたママ、店をやってるうちにだんだん、私のことを理解してくれたのか、優しくなってきて、その日初めて、「もう帰るの?ちょっと飲んできんしゃい」とかいうの。逆らったら怖いから飲みに行ったわよ。

一同 アハハハハハハ。

紀代子ママ 小料理屋で30~40分飲んでウチに帰ったら、ダンナは「何してたんだ!」と怒鳴って私に暴力振うの。これはもうダメだと思ったから、翌朝、実家にいる父にすぐ電話して「お父さん、私はもう耐えられない。別れる」「よしわかった」と、母が上京して別れ話になったの。

玉袋 エー。

紀代子ママ そしたら、別れないって言うんですよ。

玉袋 向こうが?

紀代子ママ そう。だから母が弁護士雇って裁判してくれたの。それで、私って小学校のPTAの役員に選ばれたりしちゃうのよ。だから職員室に行って「すみません。私、離婚して子供3人抱えて生活することになりましたから、役員は出来ません」って言ったら、「名前だけ貸してといてくれませんか」とか言われて (笑)。その時に、たまたま職員室にいた印刷会社の社長の奥さんが十何万円もするようなお人形を持ってきてくれたり、築地のお友達が植木持ってきてくれたり。あの時は、いろんな人に助けてもらいましたよ。

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